ロンドン訪問記

まだロンドンに来て一週間も経っていないんですが、こちらに来て感じたことを残しておきます。

街の様子

イギリスを訪問する前にYouTubeで現地情報を見ていたら、結構悲観的なことを言ってるYouTuberが何人かいたんですよね。ロンドンヤバいとか、イギリス終わってるとか。私もちょっと信用しちゃったんですが、現地に来てみたら全然そんなことはありません。そりゃあ街中にちょいちょいホームレスはいます。でもそれはどこの国でも一定数いますよね。別に街が荒れていると感じるほどホームレスが目に付くわけでもありませんし、荒んだ空気でもありません。これからいらっしゃる方は過度に心配なさる必要はありません。ただ、スマホを盗られたという話はよく聞きます。実際に5月からワーホリでロンドンに来てる息子の語学学校の友だちも三人ほど被害に遭ったそうです。なので斜め掛けのストラップを用意するなどの自衛手段は取っておいた方がいいかもしれませんが、治安は普通です。いわゆる海外の大都市ならどこでも気をつける程度の防犯意識を持っていれば充分です。

物価

これはもう本当に高いです。体感では、£1 = 100円なら、納得の感覚。なので普通に倍の値段だと感じます。一番物価高のしわ寄せが来てるのが、家賃。日本なら20万円はしないファミリー向け物件が50〜60万円以上。これは海外の富裕層がロンドン市内の不動産を買いまくった結果なのだそうです。高級物件が高くなるだけなら庶民には関係ないのですが、それにつられて普通の物件まで高騰しては庶民の暮らしは苦しくなるばかり。基本的にインフレってのは庶民の敵なんですよね。給料が上がるのは最後なので、常に生活は苦しい状況が続きます。そう考えると、日本が30年続いたデフレ時代ってそんなに悪いことだったのかなという気がします。実質所得は上がっていたわけですから、日本人の生活は楽だったのです。なんだか生活実感のないメディアやエコノミストの挑発に乗せられちゃってませんか。

移民

最近イギリスでもフランス・ドイツ・アメリカでも、極右勢力が支持を伸ばしています。全て一般国民の怒りの現れですよね。市民の鬱憤のはけ口が全部移民に向かうので、どの国も極端なナショナリズムに走りがちになります。実際は社会の大切な専門職領域、特に医療系を担っていたのが東欧からの移民だったりしたので、ブレグジット後は圧倒的に人手不足で困っているそうです。イギリスの医療保険制度の特色も関係あるのですが、医者がストライキするなんて日本じゃ考えられませんよね。

ブレグジット

これは完全に失敗でしたね。どうやらイギリス人はみんな、本当にブレグジットするつもりはなかったらしく、EUから有利な条件を引き出すためのブラフだったらしいんですよね。それを何故か国民投票なんてしちゃうから、衆愚的な悪い方向に世論が暴走してしまい、誰も望まないブレグジットが実現してしまった。これは個人的にも悪手だと思っていて、なぜなら以前のイギリスはEUに所属して有利な貿易協定のメリットを享受しながら、独自通貨の発行権と移民コントロールのためのシェンゲン協定不加入というイギリスにとって凄く都合のいいポジションを確保していたんですよね。為替はその国の経済状況の調整メカニズムですから、そもそもEUのユーロという仕組みには絶対に無理があります。これは経済的に弱い国が体力をつける機会を失い、強い国に搾取され続ける悲惨な状況が続きます。一番メリットを受けているのがドイツで、被害者はイタリアやスペインやギリシャといった経済が弱い国々です。なのでイギリスはずっと同じ立ち位置を確保しているのが一番よかったんですが、なんでこんなことになってしまったのかみんな首を捻っています。かといって今さら前のポジションに戻れるわけもなく、これだけインフレになってしまうと金利を下げるわけにはいかずにますますポンド高という悪循環。いったんインフレを始末してから、中長期的にはポンド安に誘導して経済の建て直しをすべきですが、14年ぶりの労働党政権にそんな難しい舵取りは無理ですよね。客観的には詰んでいる状況に見えてしまいます。

価値観の転換

どうして西欧のG7先進国がみんなこんなにおかしくなったのかと思うんですが、根本的に古い価値観に囚われすぎなんじゃないでしょうか。西側は全て資本主義で市場メカニズムをベースに社会が構築されているんですが、資本主義とは永遠の右肩上がりを前提とするシステムです。そして成果が極端に勝ち組に偏る暴力性を内包しています。なので社会のマジョリティである一般市民は殆どが負け組となり、経済的な繁栄を享受できません。しかし、この状況はおかしいんですよね。戦後80年が経とうとしていますが、もう我々の生活は物質的には満たされています。先進国に本来は貧困は存在しないのです。だから特に日本の若者たちはそれに気付いて、とっくに量の追求をやめ、質的な豊かさを求める方向にシフトしています。今の若い人たちはおカネ使わずに上手に生活を愉しんでいますよね。それを古い価値観の大人が元気ないだとか、覇気が足りないなどと批判するのは筋違いもいいところで、間違っているのは我々の方なのです。若者は、意識せずに新しい時代のパラダイムに適応しているだけ。別に彼らが劣化したわけでも能力が低いわけでもないのです。もし今すぐ第三次世界大戦が起きて日本が焼け野原になったら、やっぱり残った若者たちはハングリーに国を建て直すパワーを発揮すると思います。どの時代も、みんな置かれた状況のニーズに応えてきただけなんだと思います。

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2100年あたりからいよいよ人類の人口減が始まるそうです。これは地球的にはいいことなのでしょうね。日本って世界の最先端を行ってるんじゃないですか。徒に多くの移民を受け入れず、日本社会の良さを維持していく。資本主義の暴力性を補完する社会システムを機能させる。秩序と安定した暮らしやすい国こそが世界中の誰もが羨む日本の価値なのです。自信を持って参りましょう。

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