はじめに
あなたがこれから自分のネットショップをオープンするとして、真っ先に考えることは何でしょうか? 恐らく多くの方が、どうやって売上を作るかを考え、多くの方がショッピングモールへ出店するでしょう。しかし、これは悪手なんです。実際におちゃのこネットで売上上位のお店は、殆どモールに出店されていません。これはどうしてでしょうか。
ブランディング
実は、開店当初の知名度のない段階でもっとも手っ取り早く売上を作る方法は、楽天市場やAmazonマーケットプレイス、Yahoo!ショッピング、などのモールに出店することです。これは否定しません。しかし、ここで一旦、その先を想像してみてほしいのです。数年後、一定の知名度を得て順調に売上を伸ばせたとして、あなたはどういう状況にいるでしょうか? 恐らく、毎日モールの営業担当者からひっきりなしに営業の電話が掛かってきます。「もっと売上を伸ばすために広告を出稿しましょう!」「来月は●●キャンペーンを実施します。ついては参加費は■■の条件です」などなど。実際に売上はそれなりに作れているでしょうが、そこから仕入れと梱包発送料とモールの出店手数料と広告費、さらに人件費を差し引くと、あなたの手元には一体いくら残っているでしょうか。恐らく思っているよりずっと手取りは少ないはず。そして思うのです。「結構毎日バタバタと忙しい割りには儲かっている実感がないな」「俺は一体誰のために毎日働いているんだろう」と。そして広告費をケチると、やっぱり売上は落ちてしまいます。せっかく何度も買い物してくれるリピーターさんが増えてきたのに、そのリピーターさんはあなたのお客さんではないのです。あくまでもモールのお客さん。なので、お得なキャンペーンやVIP向けの還元策をしたくても、いちいちモールに断って手数料を払わなければ案内のメール一つ出せないのです。一番重要なのは、肝心のリピーターさんがあなたのお店をどれだけ認知してくれているか。ひょっとしたら、お客さんは▲▲モールで買い物しているだけで、あなたのお店の名前すら覚えていないかもしれません。そのお客さんは、果たしてあなたのお店のファンと言えるのでしょうか。こんなに手間暇かけて一生懸命商売して、やっと作ったお客さんが自分のものではない。そんなの耐えられますか? 私は絶対に嫌です。であれば、最初からあなたのお店のブランドをどうやってお客さんに刷り込むかを徹底的に考えるべきなんです。そしてその答えは、自分だけの本店サイトで勝負すべし、です。お店のロゴもテーマカラーもデザインイメージも、自分だけのオリジナリティが出せなくては面白くないじゃないですか。バタ臭いモールのデザインに縛られて、沢山ある同業他社ショップに埋もれて、あなたの色は出せるわけありません。ちゃんと本店を用意した上で、もしモールを併用するなら、あくまで効率的な集客導線として戦略的に併用しましょう。
本店とモールの使い分け
仮にモールを併用したいなら、賢く本店と差別化をした上で戦略的に使い分けをするのが賢いやり方です。
商品ラインナップ
例えばですが、数量が限られる人気商品はまず本店だけで先行販売する。ここで予定数量を売り切ることができたら、それで販売終了です。また、売れ筋の中心アイテムだけを目に付くモールで販売しておいて、細かいオプションや周辺商品は本店だけに登録するというのも一案です。食い付きのいい最初の釣り堀と割り切ってモールを使いましょう。
値付け
今どきの消費者はもうネットの世界の裏側もよく知っています。なので、モールで買うのと本店で買うので値段が違っても、それには理由があるのだと理解しています。それでもモールで買う層は、そもそもモールのポイントが欲しかったり、会員登録が面倒だから。なので、そのモール手数料分を上乗せして値付けしても全然OKです。価格コンシャスな層は、必ず安い本店で買います。そして次回以降も本店をまずチェックするはず。もちろんそれだけの商品力、お店の魅力がないと本店までは訪ねてくれませんが、それは強いお店を作るための絶対条件。頑張ってストロングポイントを作りましょう。
AmazonPayの利用
実は絶対にモールに勝てない独自ショップの弱点も存在します。それはアカウント登録の手間。誰だって自分の住所やお届け先やクレジットカード番号の入力は面倒なもの。当然よく使っているモールで買うのが手っ取り早いし、いちいち独自ショップに登録なんてしたくない。でも、そこに見慣れたAmazonPayのロゴがあればどうでしょうか。一気に登録のハードルは下がりますよね。AmazonPayは独自ショップの強い味方なんですよね。これ、簡単な理屈なのに、多くのショップは導入していません。わずかなコストと手間を嫌がっているようでは成功はおぼつきません。
ポイント
どうも日本人は(世界中のどの国も?)ポイントが好きみたいで、やたらポイントに反応します。と言ってる私も、合理的なのは現金値引でポイントは即時還元すべき、と頭では分かっているのに「ポイント溜めます」と反射的に言ってしまいます。貯める、という行為が凄く良いことと刷り込まれてるんでしょうね。なので、楽天Rポイント・ドコモdポイント・Yahoo! PayPayポイントを貯めたくなる気持ちはよく理解できます。なのでそのような大手ポイントシステムに加入できない本店独自サイトは不利なんですよね。これを完全に払拭することはできませんが、可能な限り自店ポイントシステムを運用して、顧客囲い込みの努力はしましょう。
販促
これは逆にモールにはない本店サイトの強みなんですが、一定の顧客ベースができてきたら、こちらからPush販促をしましょう。これは未だにメールによることが多いんですが、おちゃのこネットには顧客を様々な観点でセグメント分けした上でステップメールを送る機能があり、ここ半年お買い物をしてくれていない顧客にクーポンを送る、○回以上購入してくれているVIP顧客だけに御礼クーポンを送る、□□アイテムを購入してもらったお客さんに△△アイテムを勧める、などの販促をかけることができます。熱心なお店は既にLINE公式アカウントを作って友だち登録を勧めていると思いますが、それでも送れるのは一律の販促案内だけ。上記のようなきめ細かい絞り込み販促は確実に効果が出ます。ちなみにモールではこのような販促機能は用意されていないか、使うのに別途費用が必要になることが殆ど。あなたはモールにとってお客なのではなく、カモなのだと自覚すべきです。
まとめ
このような考察はおちゃのこネットのポジショントークだと思われるかも知れませんが、上記は殆どがお付き合いのある売上上位ショップの社長さんたちとの交流から得られた生の知見です。皆さん、このような経験をして、またはこのような罠に陥ることを賢明に避けながら、実績を残されています。先人の経験は何よりも得難い智恵のかたまり。せっかくアドバイスをいただいているのですから、素直に聞き入れてみるのが成功への近道と思います。
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