大企業病

仕事がら、たまに誰もが知っている大企業とお付き合いすることもあります。若い頃は相手の看板に圧倒されて気圧されたりしましたが、さすがにこの歳になると厚かましくなってそういうこともなくw 逆にダメなところが目に付くようになりました。一番感じるのは、意志決定の遅さと精度の悪さです。「どうしてそんなに時間掛かるの?」「で、出した結論がそれ?」「なんでこんな馬鹿みたいなことやってるの?」みたいな。具体例出さないと伝わらないと思うので、差し支えない程度にw

D社さんの例。先方から協業の提案があったので話に乗って打ち合わせを進めていたのに、NDA締結の段階で頓挫。担当者がNDAの送付先を何度も尋ねてくるんですよ。そんなの社長宛に本社に送れば絶対届くじゃないですか。確認入れる意味が分からん。そもそも先方のNDAの記名が担当部長だし。最低限、会社として責任取れる取締役名で締結するべきじゃないですか。案件の交渉条件もよくなかったので、この調子ではどうせ大した成果に結びつかないなと思って、呆れて放置ですw 根本には価値の高い提案にめとめきれない提案力の低さがあります。で、なんとなく自分たちは偉いんだ、お前ら有り難く話を拝聴しろ、的な上から目線を感じるんですよね。これ、中小企業の社長が一番ムカツク奴です。

R社さんの例。いきなり電子契約書が見たこともないアドレスから送られてきて、SPAMかと怪しむ。担当に確認したら、派遣社員にはコーポレートメール使わせてないんだとか。誰が正社員で誰が派遣かなんてこっちは分からないんだから、そんな使い分けされても困惑します。普通にメールアカウント発行して使わせてあげればいいのに、これも正社員が派遣を下に見ている例な気がします。感じ悪いですよね。そしてここの最大の問題は、行き過ぎた効率化。担当が細分化されすぎていて、案件のステップが進むとドンドン担当者がバトンタッチで代わっていく。当然最初の営業担当者と打ち合わせた内容は引き継がれず、何度もおんなじ話をするハメになってうんざり。「人が育たない会社」なんて揶揄されるのもわかります。利益出すためには正しいのかも知れませんが、現場力は落ちる一方で顧客もどんどん離れていきます。事実業界でのポジションは低下しているので、未来は明るくないですね。

この二社に限らずなんですが、こういう話は山ほどあります。ここから我々は何を教訓として読み取るべきか。

一つは、中小企業はリソースの量では勝てなくても、意志決定の早さが武器になるということ。顧客サポートや不具合修正、サービス・プロダクトの改良スピードで上回ることは充分可能。

もう一つは、そもそも新規のサービス・プロダクトを企画するときに、既に大企業が一定のシェアを抑えているからといってそのマーケットでは勝てないと判断する必要はないということ。一番手強いのはイケてるベンチャーなので、そういう競合は避けつつ、古い大企業が支配しているマーケットは実は狙い目である可能性まであります。

イノベーションは全く新しい領域を生み出そうとせず、既存領域の周辺で起こせ、という教訓もあります。その意味では、金融・不動産・中古車・医療・法務・税務、などのレガシー領域でもまだまだ新規ビジネスが切り込める余地が多いにあるのだと思います。「ウチの会社は古いから」とお嘆きの方、実は大きな宝の山を前にしているのかもしれませんよ。

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