
読んでいて、色々考えてしまいました。若い方には信じられないかも知れませんが、日本も昔はこうだったんですよ。高度成長期と言われていた昭和30〜40年代、つまり戦後からオイルショック(1973年)までは日本の稼ぎ頭は繊維産業であり、現在の中国と同じ光景が日本中の工場で見られたのです。当時の日本は働き過ぎが社会問題になる時代。週休二日なんてどこの世界の話ですか、という感じで、私の親世代は平日も週末もずっと身体を動かしてなにか仕事をしていたものです。
BBCの記事の文中に
1カ月に31日あるなら、自分は31日働く
ほとんどの労働者は、月に1日しか休みがない
私たちはふだん、1日に10時間、11時間、12時間働く
とありますよね。これも戦後世代の日本人からすれば当然だったと思います。つまり、これは50年前の日本なのです。
ということは、中国の50年後はどうなっているのか。恐らく日本と同じ道を歩むと思います。親には当然のこととして受け容れられた社畜人生も、子どもや孫の世代には拒絶されるでしょう。それをいくら親が嘆いても、経済発展するということはそういうことなのです。そしてその時にはNEXT中国が同じポジションを担っていることでしょう。それがインドなのか、アフリカ諸国なのか、今はまだわかりませんが。
では我々日本人はどうすればいいのでしょうか。学べることは二つあると思います。
国内生産で価格勝負はできない
今さらですが、もう日本国内の生産で中国や他の国々に安さで対抗することは無理ですよね。1980年代後半からの円高局面で国内の生産能力は概ね海外に流出してしまったのですが、いくら為替が円安に振れたからといっても日本国内を安い生産拠点として戦略構築はもう無理です。
中国から安値で仕入れるビジネスモデルも難しい
問題はここです。従来のように中国の工場が黒子でいてくれる間は、彼らが生産する安い商品を仕入れて日本国内で販売することで利益を取れていました。しかし中国企業がネットで直販をするようになってしまっては、そういうサヤ抜き商売が成立しません。唯一成立するモデルは、あくまでも日本企業が自社ブランド商品を中国生産して、自社ブランド品として販売するパターンに限定されます。但しこの場合は、ブランディングを自社で展開する必要が出てくるので、マーケティングコストが嵩んでしまいます。
ブランディング
つまるところ、商売の成否は「自社ブランドを構築できるか」という一点に掛かってきている気がします。もう商品の仕入先が提供している商品写真に頼っているようでは全然ダメで、自社で商品写真を撮り下ろす。広告展開するための動画も全部自社でオリジナルを撮り下ろす。これが必須なんだと思います。製造自体はファブレスでOKだけど、消費者との接触ポイントを自社でコントロールする。一番分かりやすいのは、自社店舗を展開してそこで販売すること。少数のアンテナショップ+ネット展開で、在庫を過剰に持たずに限定商品的に売り切っていくモデル。これしか恒常的に利益を確保していく道はないんじゃないでしょうか。これは規模の大小を問わず、零細企業でも上場企業でも、やるべきことは同じなんだと思います。
ネットができて商売を始めることは簡単になりましたが、生き残るための戦略構築の難易度はどんどん高くなっています。シンドイ時代なのかもしれません。
コメント