
バフェットの言葉を借りるまでもなく、自由貿易花盛りの21世紀において、世界一の貿易国であるアメリカが今さら関税を持ち出すとは夢にも思いませんでした。トランプのことはビジネスマンとして一定の評価をしていたつもりですが、彼は経済オンチなのでしょうか…

世界最大の貿易品目は自動車です。と書いて、待てよとChatGPTさんに聞いてみたら見事に間違っていました…
世界の主要な貿易品目の中で、自動車は重要な位置を占めていますが、最大の貿易品目ではありません。2022年の世界貿易統計によれば、製造品輸出において、化学製品が全体の20%(約3兆100億米ドル)を占め、トップとなっています。次いで、事務・通信機器が16%(約2兆5,120億米ドル)を占めています。自動車関連製品は全世界の総輸出額の10%(約1兆5,180億米ドル)を占め、3番目に位置しています。 SGL USA+1ジェトロ+1
このように、化学製品や事務・通信機器が自動車よりも大きな割合を占めており、自動車は世界最大の貿易品目ではないことがわかります。
自動車より化学、通信機器の方が大きいんですね…。まあでも自動車分野が経済に及ぼすインパクトが大きいことに変わりはありません。関税掛けられて困るのはアメリカ国民なんですが、分かってるんでしょうか。
とあるメルマガで、どうしてアメリカがこんなに急に関税とか言い出したのかについて面白い意見を見かけました。実はアメリカが大きく危機感を持っているのはウクライナ戦争で武器・弾薬の供給でロシア・北朝鮮に劣勢を強いられていることが効いているのだとか。アメリカに限らず先進国はどこも製造業が空洞化していて、自国内はITや金融といった高付加価値サービス業にシフトしているのですが、そうするといざとなった時に戦争で勝てない恐れが出てきた、と。これはなかなか面白い見方で、経済的な利益なんて戦争という極限状態の前では意味がないので、短期的なメリットを捨ててでもなんとかしないとという強烈な危機意識が芽生えたのかも知れません。まあいくら関税かけてグローバリゼーションに歯止めを掛けようとしても思惑通りにアメリカに製造業は戻ってきませんし、無駄だと思いますけどね。根本的に若い人たちがやりたがらない劣悪な仕事は、先進国には無理なんですよ。やるなら現場を高度に省人化してハイレベルな生産管理体制に移行するべきですが、どこまでいっても工場に3K仕事は残りますよね。例えば自動車製造工場で最悪の仕事は塗装ラインで、今でも完全にロボット化できない工程が残っていてそこは人がやってると思います。シンナーでくらくらするキツい仕事で、殆どの工員が永続きしないらしいです。こういうプロセスを完全になくせるかどうかが、先進国に製造能力をとどめておけるかどうかの分水嶺になると思います。
個人的にクルマ業界の行く末については興味深くウォッチしています。今のテーマは、果たしてEV時代はくるのか、来るとしてその時の覇者は中国なのか、です。現時点での私の予想は、EVの普及は近距離モバイルに限定的にしか普及しないが、そのEVカテゴリーでは中国が勝つ、です。エネルギー効率の観点から、トータルではハイブリッドが最適解で、ここはトヨタが正しい。ただ日常の買い物用途などでは手軽なEVが向いているので、一定の普及はするでしょう。今の政府主導の行き過ぎた環境規制はいずれ見直される時がくると思います。遠くの発電所で化石燃料燃やして作った電気をはるばる送電線で運んできて、エネルギー効率の悪いやりかたでモーターを動かすなんてナンセンスなんですよね。明らかに内燃機関の方が優れています。ICEの効率をモーターとの補完で補うというのが最終解だと思います。最もエネルギー効率の良さを競うF1はそうなってますからね。
そして複雑なICEを必要としないEV生産の領域では中国に勝てないと思っています。iPhoneを作っているのが鴻海の中国子会社のFoxconnであるように、もう世界の製造サプライチェーンは中国中心にできあがっちゃってるんですよね。そのうちBYDが世界最大の自動車メーカーになっても驚きません。トヨタはトップ2であり続けるとは思いますが。
しかしまだトランプが就任して三ヶ月しか経っていないのに、世界は振り回されっぱなしです。トランプの次の政権ではまたグローバリゼーション体制に戻ると思いますが、それまでの四年が地獄ですね。みんなで首をすくめてなんとかやり過ごしましょう。早く四年経ちますように!
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