その案件ガチャ、引き直せますか?

楽らクラウド株式会社
楽らクラウド株式会社 楽らクラウド株式会社 - ノマド休暇制度あり、9ヶ月働いて3ヶ月休む。エンジニアファーストで個性を尊重しそれぞれが気持ちよく働ける環境の実現を全力で目指すSES(システ...

ウチはグループに楽らクラウド株式会社というSES事業会社があるんですが、この業界はなかなか闇が深いんです。よく小泉・竹中政権時代の施策を非難して非正規の中抜きビジネスモデルが揶揄されますが、SESという業態は傍目には中抜きそのもの。しかし社会的に存在価値がないのかと言われると、そうとも言えない。私が考えるSESビジネスの存在価値は、

  • 職場環境のリセット
  • 新しい技術へのチャレンジ
  • IT雇用の需給バランスの調整弁
  • 未経験者や他業界からの転職組へのITキャリアパスの提供

といったところでしょうか。

職場環境のリセット

おちゃのこネットのような自社プロダクト企業の方が一般的には就業環境としては良好と言われるんですが、それも100%ではありません。当然ながら、どんな職場でも人間関係の相性は存在します。特に小規模な会社だと、社長や経営陣だけでなく、チームリーダーや上司とソリが合わなければ最悪です。逃げ場がない。それに対してプロジェクト単位でチームを毎回イチから編成するSESでは、都度案件ガチャを引いているようなものです。

話が逸れますが、この「案件ガチャ」という表現いいですね。今どきの若者言葉なんですが、とってもシンプルに本質を言い表していると思います。

人間関係が悪化したときに、転職までしなくても新しい職場にリセットできることは大きなメリット。元々社外からの傭兵として使われる立場なので、そこまで結果責任を重く考えなくてもいい。なのでワークライフバランスを重視して、あえてSES業界を渡り歩くエンジニアも多いのは納得できます。

問題は、大手企業などで各々のエンジニアの状況やキャリアパスにまで細かく目配りする余裕のない会社の場合。個人がどれだけ困っていても、救いの手は差し伸べられません。明らかに、会社>個人、の優先度なので、最終的には退職するしか環境を改善する手段がない。地獄絵図なんですが、結構多いパターン。

ウチは、「案件ガチャ引き放題!」を宣言します。

どんな理由でも構いません。

  • 開発リーダーと合わない
  • チームメンバーに馴染めない
  • 最初に聞いていた開発内容と実際が異なる
  • 案件の進捗が悪く炎上気味である
  • 想像より通勤がキツく、リモートも望めない

どんどん会社にご相談いただければ、一ヶ月前の解約期限だけご容赦いただいて、すぐに次の案件を探します。なぜそこまでするのか、と聞かれれば、「社員が辞めないため」というのが答えです。SES事業において、せっかくの社員が転職でいなくなってしまうことくらいマイナスなことはありません。もちろん営業の労力は都度発生しますが、それでも実際に案件で稼働するエンジニアの満足度が優先ですよね。もちろんあまりにワガママで、とか、我慢が足りなくて、なんてケースはご本人に諭すこともありますけど、多くの場合はやっぱり案件ガチャ回したくなる理由がある。ちゃんと一人の人間として向き合えば、助けてあげたくなりますよね。

新しい技術へのチャレンジ

これはちょっと綺麗事にすぎるかもしれませんが、あたらしモノ好き体質の方なら同じ場所に長いこと止まることが苦痛なのはわかりますよね。これが自社プロダクト企業の最大の弱点で、どうしても同じ環境で継続的に同一プロダクトに関わることが多いので、技術的な目新しさに欠けるところは出てくる。長くて二年、短ければ半年程度のSESプロジェクトなら、都度その時点で関心のあるテーマを選ぶことができるので、実は技術志向の方には面白い働き方なんですよね。ここはもっと評価されてもいいと思います。ちなみに、過去にCARZYのアプリを開発した時には外部のプロフェッショナルさんたちに助けていただきました。カッコよかったなー

IT雇用の需給バランスの調整弁

昨今の企業の競争力を左右するポイントがITサービスの充実にかかっていることを考えると、自社でプロパーエンジニアを抱えたがらないJDC(日本のオールド大企業)の方針は理解できません。でも日本の労務法制が正社員を増やすことに二の足踏ませるんですよね。結果的にSIerやSES企業がバッファになっているんですが、これは立派な存在意義です。

未経験者や他業界からの転職組へのITキャリアパスの提供

最近目立つのが、全くIT業界と関係ない業界からの転職組の増大です。飲食・美容・医療など、さまざまな業界からの応募者が本当に多い。でも彼らの多くは、IT実務経験という大きな壁に跳ね返されます。当たり前ですが、どこの会社も即戦力がほしい。昔と違って大企業でも大量採用・大量育成の余裕はないんです。いま大量に若者を採用しているのはSES会社ですよね。かなり乱暴な教育体制しかない会社、下手すると経歴詐称してクライアントに未経験者を放り込む詐欺会社もありますが、多くのSES会社は真面目に育成してる。これがないと、IT業界はもう成り立たないんです。最初はテスト工程だけ、なんてつまんないと思うでしょうが、それでも長い目でITキャリアパスを作っていくには、地道にできることを増やしていくしかない。

スキルはあなたを裏切らない、というのがエンジニアに限らず専門職を選ぶ意味だと思います。どんなベテランも最初はコード見てちんぷんかんぷんだったんです。いくらAIが発展したって、エンジニアの仕事が奪われるなんてことにはなりません。もしこの業界に興味のある方がいらしたら、思い切って飛び込んでみてください。会社選びを間違えなければ、きっとあなたの人生、良い方向に進むはず。半歩踏み込む勇気が大事。

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