夏休みに家族でポルトガルに行ってきました。せっかくなのでカメラを持っていこうと思ったものの、前回ロンドンで財布をすられた経験もあり、あまり高いカメラを持っていって盗られたらシャレにならんし、しかしどうせならそれなりのカメラで良い写真撮りたいしと逡巡。悩んだ末にFUJIFILMのX-H2+XF16-80mmのズームレンズとLeica M11+Summicron35mm六枚玉(2nd)を持っていきました。ギリギリ盗られても諦めつく(つかんけど…)線でチョイス。
ちなみにどうして旅先にポルトガルを選んだのかというと、この動画を見たからw ロンドンがあまりに物価高いので家族で滞在すると幾ら掛かるか分からんと思ったのと、ヨーロッパでまだ行ったことない国だったこと、物価が比較的安かったことが決め手でした。いつものように往復のチケットだけ取って、レンタカーの予約して、ホテルは最初の宿泊先だけ予約して後は直前に適当にチョイス。
リスボンではこじはるちゃんオススメのホテルに泊まることにしました。これがまた最高のホテルで、さすがこじはる。センスが完ぺき。チェックインして早速街に繰り出して写真を撮る。
これ現地の21時くらいに撮ってると思うんですが、ヨーロッパの夏は日が長いのでみんな一日を満喫している様子が伝わってきます。夕食のスタートも遅くて、路上のテーブルでずっとダベってるのが緩くていい感じです。ポルトガルはヨーロッパでも西の端なので時間の流れがゆったりしていて、夏のバカンスにはうってつけの場所ですね。
旅先、特に海外旅行にどのカメラを持っていくかは結構考えます。単焦点レンズを何本も持ち歩くことは避けたいので、使い勝手のいいズームがメイン。それでもやっぱり夜の街の光を写したいと思っていたのでライカは持っていったんですが、正解。日本と海外の違いは建物とライト。石造りの街並みに暖色系の灯が相まって、ぼうっと浮かび上がる光景が幻想的。ファインダーを覗いていると吸い込まれそうになります。
リスボンといえば、この路面電車ですよね。車体も結構年季が入ったものが多く、雰囲気出てます。
ライカの写りにはうっとりしてしまいます。もちろんどんなカメラで撮ったって現像でいかようにも画は作れてしまいますが、それでも撮って出しでこの出来はエモい。なのでレンズもオールドレンズが好きです。最新のカメラとレンズを使えば、いまどき誰でもシャープな写真は撮れてしまいます。でも多くのカメラ好きはそうじゃなくて、自分なりのエモい写真を撮りたいんですよね。オールドレンズやフィルムカメラに向かう気持ちがよくわかります。
このホテルは元々インド貿易で成功した個人の大邸宅をプチホテルに改装したもので、まだ開業して10年は経っていないのだとか。ところどころに元オーナーの暮らしぶりが伺える設えで、とてもゆったりした気分に浸れます。朝食会場のフロアにピアノが置いてあり、毎朝生演奏と、日によっては歌やバイオリンとの協奏が愉しめます。私は市内に出掛けずに一日ずっとここに居れるなと思っちゃいました。ポルトガルの印象爆上がりです。
場の空気に引き込まれる。退廃的で耽美。
ポルトガルを旅行先にチョイスする人は少ないと思うんですが、ヨーロッパの西の端にこんな素敵な国があったんですね。時間が100年前で停まっている感覚です。
改めて写真を見直してみて、あちこちに黄色が効いている気がします。意図されたものなのだろうか。
正にここから大航海時代が始まったのです。ヴァスコ・ダ・ガマの出港式がここで執り行われて多くの人が船出を見送ったのでしょう。胸が熱くなりますね。
絵ハガキで見かける構図ですw
年式的にはかなり古そうな路面電車が市内を縦横無尽に走り、これが街並みに良いインパクトを与えています。とにかくシャッターを切りたくなる。
リスボンには1755年に大地震が起き、この修道院はその爪痕を今日まで残しています。ヨーロッパの石造りの建物が永年に渡り維持されているのは地震がないお蔭だよなといつも思います。日本人は大変なハンデを背負って暮らしているのです。
市内を一望できる高台の城。そりゃ恋人は盛り上がりますわ
今回の旅でよかったのは、年頃の娘と話す機会が沢山あったこと。まあお年頃なので多くは望みませんが、心の内をシェアしてくれるのは嬉しいものです。
バスを乗り継いで向かったのに、ストで観覧中止。どうやらポルトガルではストが多発しているらしく、市民は結構生活に不満を溜め込んでいる様子。経済的にはあまり上手く行っていないのでしょうね。
大航海時代の象徴。”発見”なんてのは発見される側の現地人からすれば失礼千万な話で、いやいやこちとら先祖代々ここに住んでますから、と。それでも大した技術のない時代に大海に舟を出して見知らぬ異国を目指す精神は見上げたもの。ポルトガル・スペインの両国が大航海時代の先兵となったのはヨーロッパの中心では存在感を発揮できなかったからかもしれない。しばし歴史の彼方に想いを馳せる。
テージョ川のすぐ向こうに拡がるのは大西洋。ヴァスコ・ダ・ガマの船団は150人で出発して無事に帰還したのは1/3だったらしい。壮絶な旅路です。
ヴァスコ・ダ・ガマが眠る世界遺産の寺院もストで中は見れず。
このマーケットが成功したので、2025年に大阪のうめきた二期地区に開業することが決まっているそうです。楽しみですね。
道路をピンクに塗って上から傘を吊しただけなんですが、観光名所はその気になれば幾らでも作れるという好例ですね。
レンタカーでリスボンを離れ、北に向かいます。まずはユーラシア大陸最西端のロカ岬へ。「ここに地終わり海始まる(Onde a terra se acaba e o mar começa)」。考えれば我々は大陸の東の端からはるばるここまで来ているわけで、感慨深くなります。
思うままに各地に立ち寄れるのがクルマの旅のいいところ。ポサーダという宮殿を改装したホテルがポルトガルの名所なので、オビドスの街に立ち寄ってみました。城壁に囲まれた小さな街は花で溢れています。ブーゲンビリアが白壁に映える。
ポルトガルはとにかく空が青い。雲一つない晴天が続きます。そりゃ人も明るくなるわ。
更に北に足を伸ばしコインブラに。
この回廊が素晴らしい。
ポルトガル第二の都市ポルトへ。ここも宮殿を改装したホテルですが、比較的新しい造りでとにかくゴージャス。気分は王族です。
どんなカメラで撮っても、それなりにレタッチすればいい感じにエモく仕上がることはできますが、やっぱりライカの画はいい。BLOGで写真を紹介しようと思ったのも、この良さをInstagramの小さな画面では伝えきれないから。
「世界で一番美しい駅」の呼び名は伊達ではない。
この橋がポルトのアイコニックスポット。
印象的なアズレージョ柄が目につきます。
「世界で最も美しい書店」。ここがこの旅のハイライトかもしれません。存在感に圧倒されます。ぜひ現地で確かめていただきたい。
ポルトガルでは一度も嫌な思いをしませんでした。出会う人みんなが優しくてフレンドリー。暮らすには良い国なんでしょうね。
最後は夕陽で締めです。長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。こうやって振り返ると旅の思い出が蘇ってきます。記憶はどんどん薄れていってしまうから、やっぱり何かの形で残したい。私にとってはそれが写真なんですよね。ではまた!
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