冷静と情熱のあいだ


先週久しぶりに東京出張に行き、AmazonPayセミナー「ネットショップEXPO 2023」への出演とおちゃのこネットのお客さまにインタビュー収録をしてきました。後ほどおちゃのこネットのYouTubeチャンネルにインタビューをアップしますが、毎回とてもためになるお話しを聞かせていただいています。そこでこんなやり取りがありました。

知人A「どうしてこんなに可愛い商品が売れないのかしら。私が選んだセンスたっぷりなアイテムばかりなのに」
知人B「それがダメなんですよ。売れないのなら、それは自分のセンスを疑うべき」
知人A「Bさんところの商品ばかり売れてつまんない!」
知人B「それがマーケットの答えですよね」

私はこれってあるあるな話だな、と感じました。お店の運営・経営には全く逆の要素を同時に扱うことを求められることがままあります。

・想い入れと客観性
・情念とロジック
・細かいことと大きいこと
・センスと数字

これって相当難易度の高いことなんですよね。でもこれをこなせるスーパーマンじゃないとお店や会社って立ち上がらないんです。だから殆どの人が失敗しちゃう。自分独りで無理なら、異なる個性を持った創業メンバーが複数人でチームを組んでやるかですが、それはそれで大体揉めますw だから独立開業はイバラの道なんですよね。

上記の例でも、お店を始める原動力は絶対にオーナーさんご自身の個性なんです。何か気に入ったもの、好きなものがあって、それを多くの人に知ってもらいたいと思うから、お店を始める。だからスタートは100%想い入れから始まるものだと思います。で、そのアイテムが想定通りに市場の支持を得られればいいんですが、必ずしもそうはいかないケースも多い。その時、客観性をもって軌道修正ができるか。右脳と左脳を同時に働かせなければならない。

あともう一つ思ったのは、「結局お店・会社は経営者の器以上には大きくならないんだな」ということ。これも認めるのはツラい真実です。でもね、最近思うんです。だから何なの?、と。大きくならなくて悪い?、とも。年商100万円のお店と1億円のお店、1億円が本当に偉いのか、と。そりゃまあ普通は商売は大きくなるに越したことはないんですが、その分犠牲も払います。資金、マネージメント、プレッシャー、ストレス。大きくすることを楽しめる人はガンガンやればいいんですが、そうでない人も結構多いと思うんですよね。自分は自分のペースで歩きたい、最低限食っていければそれでいい、何かに追われてシンドイ目をするより自然体で歩きたい。それはそれで立派な価値観。誰かに文句言われる筋合いなんてありません。だから思うんです。必要なのはほんの少し上を見る視線だけなんじゃないかなと。あまり背伸びをするのはツラいけど、昨日までの自分よりほんの少し成長した自分の姿を見るのは気持ちいい。だからちょっとだけ昨日よりよくする、ゆっくりだけど成長を続ける。それで充分幸せな日々が得られるんじゃないでしょうか。

だから冒頭の知人Aにはこう言いたい。「お店の真ん中にはあなたの好きな商品を並べましょう。売れなくてもいいじゃないですか。で、Bさんの商品もちゃんと脇には置いておきましょう。それがあなたの糧になるから」

この知人はもうお店をやめちゃったんですが、やめなくてよかったんですよね。いつか戻ってきてくれると嬉しいな。

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