個人の時代

今確変が起きていて、目の前に100年に一人の大天才日本人が三名もいます。大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太。この三人を知らない日本人はいないでしょう。世界でどれだけの知名度を得ているのか分かりませんが、凄い時代だなと感慨深いものがあります。

センスのある野球少年は、小さい頃はエースで四番が当たり前。チームで一番野球が上手いヤツは、投げるのも打つのも誰よりもレベルが高いんです。でもそれは高校生までで、プロ入りと同時に普通はキャリアの選択を迫られます。桑田はピッチャーに専念しましたし、イチローは野手の道を歩みました。二人とももう一方のセンスも並外れていたのは周知の事実だったんですが、その選択に誰も疑問を持ちませんでした。大谷君が二刀流で売り出したとき、正直日ハムの良心を疑ったものです。注目を浴びたいために無茶なことをやりやがって、と。しかし今思えば、そりゃ目の前にこの大谷翔平がいれば、どちらの才能も殺すのは惜しい。栗山監督の判断はナイスでした。プレッシャのキツい阪神みたいな球団に入団していたら、こうはいかなかったでしょうね。いまエンゼルスの面々も自分たちが手にした宝物の価値に遅まきながら気付いたようです。トレードに出して少しばかり稼いだからといって、だからどうなんだ。目の前で伝説を目撃する当事者になる方がはるかに価値があるじゃないか、と。世界一のメジャーリーグで100年に一度の奇跡が現実になっている。もっとお祭り騒ぎになってもいいですよね。

井上尚弥がもし中量級だったら、世界の注目はこんなものじゃなかったでしょう。しかしとかく過小評価される軽量級でもパウンド・フォー・パウンドの呼び声は高く、あのマイク・タイソンも井上推しです。争いごとを嫌う今の日本の若者たちの中から、ボクサーという荒々しい、でもどこか清々しいパワフルなスターが登場したことに驚きます。ファイトマネー、安すぎません? 命削ってあの値段ですか、と思っちゃう。

藤井聡太君をどれくらいの存在と位置付けるかはまだ難しいんですが、大山・羽生クラスであることは間違いありません。個人的には大山並みの怪物性を身につけて欲しい。そんなキャラじゃないかもしれませんがw

この三人の登場は偶然なのでしょうか。私にはそうは思えません。戦後の高度成長期を日本挙げての会社の時代、組織の時代と捉えるなら、先進国にキャッチアップした今は個人の時代と言えるのではないでしょうか。みんなで足並み揃えて頑張るという感覚は、今の若い世代にはないと思います。オッサンからすると日本の良さが失われてしまったようにも思えますが、それはただのノスタルジーで、日本は正しい方向に進化しているのだと思います。思い返せば、昔は窮屈だったんですよ。個人より組織、家族、地域社会の論理が優先。個性を主張するのはワガママで協調性のないヤツ。出る方も落ちこぼれる方も許されない、息苦しい社会だった気がします。その意味では今はいい感じに肩の力が抜けてきたんじゃないですかね。他人に何かを強制することはしない、できない、という感覚が確かに共有されてきている気がします。だからBIGMOTORみたいな古いブラック体質な企業は圧倒的に嫌悪感を持たれる。経営者が感覚をアップデートできていない例なんです。そうじゃない。最後に決めるのは個人なんです。自分の生き方は自分で決めていいんです。誰かに指図されるものなんかでは決してない。だから仮にチームスポーツでも、チームのために個人が犠牲になるのではなく、強い個人の集まりとして個性が活かせる組み合わせを発見したチームが強くなる。これが現代の在り方です。これから色んな業界でもっと個人の活躍が見られるようになっていくでしょうね。突出した若い世代の登場を楽しみにしています。

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