18世紀半ばに起きた産業革命は、いわば筋肉系の革命。人間の運動エネルギーを拡張しました。これで大きく社会は発展したのですが、20世紀の終わりに起きた情報革命は神経系の革命。見た目は産業革命に比べて地味ですが、負けず劣らず社会に大きなインパクトを与えています。一般にインターネットが普及したのは1995年のWindows95からなのでまだ30年に満たないのですが、もうネットのない生活は考えられませんよね。ネットのなかった時代に生まれた我々とネットネイティブ世代とでは決定的に感覚が異なるのです。
ネットのもたらした影響をざっくり見てみると、
- 個人:コミュニケーションの常時接続
- ビジネス:情報の非対称性の解消
と言えると思います。
個人としては、誰かといつでもどこでも連絡がつくようになったというのが決定的。まあ返事するかしないかは受け手に選択権があるので瞬時にコミュニケーション取れるとは限らないんですが、それでも殆どの場合は用が足りる。これで時間や距離の感覚が一変しましたよね。
そして社会にとって大きなインパクトは実はビジネス上の変化で、情報の偏りがなくなりつつあるのが大きいと思います。ネット以前は、基本的に企業が優位でした。そもそも市場に情報は出回らないので、企業側が取引に有利な情報を独り占めしていて、消費者にどんな見せ方をするかは企業がコントロールしていました。あくどいことをすれば後で発覚したときに叩かれますけど、その場では企業側が圧倒的に優位で、消費者は信じるか信じないかの二つに一つだったのです。それがネットの登場で一気に事情が変わってしまった。もう企業側が情報をコントロールすることはできず、下手すると消費者側の方が沢山の情報を持っている。もちろん情報リテラシーの優劣で使いこなし方に個人差は出ますが、選択の場面で大きく消費者側にシーソーが傾いた感はあります。
最近はあちこちでコンプライアンスが厳しくなっていますよね。これもネットがもたらしたもので、もう昭和の時代のように大目に見られることはありません。軽微な法律違反も、各種のハラスメントも、マナー違反だって白日の下に晒されてしまう。これを息苦しいと思っても、時代は後戻りしません。街中にカメラは増える一方で、人目を気にせずに振る舞える空間は密室だけ。政治家だって財界の大物だって、圧倒的な世論には対抗できない世の中です。これが民主化の進歩というものなのでしょうね。
この大きなトレンドに真っ向から逆らっているのが中国を始めとする専制国家です。いずれ決壊すると思いますが、その時に本当の単一市場が現れるんでしょうね。我々は高みの見物ですw
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